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科長インタビュー

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総合診療科 科長 野村 陽

総合診療科ではどのような診療をしていますか?
どんな症例についても診療を行っています。確定診断のついてない症例を診察して診断をつけ、腫瘍ならがんセンターに、消化器疾患ならば消化器科にといった感じで、各科に引き継いでもらっています。当センターに該当する専門科がない症例については総合診療科で診療を続ける場合もありますし、診断をつけてかかりつけの病院に継続治療をお願いする場合もあります。
患者さんの多くは診断がついてない状況で総合診療科に来院しています。診断がつけば治療法はおのずと決まっていきますが、診断がつかないと治療に行き詰まってしまいます。総合診療科ではなるべく速やかに確定診断をつけて、スムーズに治療に入っていけるように心掛けています。
来院する症例には、どのようなものが多いのでしょうか?
確定診断のついていない腫瘍性疾患が多いですが、神経系の病気も多いと思います。当院にはMRIがありますので、発作や麻痺を主訴にMRIの撮影依頼というケースが多いです。ほかには黄疸や、食欲不振など、症状が出ているものの原因が何だか分からない、どの専門科を受診したらいいのか分からないといった症例を診ています。神経科や泌尿器科などの病気は専門科がありませんので、総合診療科で診療しています。
二次診療を行う病院で、なぜ総合診療科を選ばれたのでしょうか?
一次診療で診察をしていた時期が長かったからだと思います。一次診療を行っていた時に、確定診断に至らず、治療に行き詰まることがあり、それを抱え込んで苦しい状況になることがありました。飼い主様に二次診療施設をお勧めしても、必ず皆様が受診を希望されるわけではありません。そのような状況では、診断がつかないまま治療は続けなくてはならず、場合によっては診断に至らないままに亡くなってしまうこともあります。そのようなこともあり、二次診療施設で“その先がどうなるか”を見てみたかったというのが大きいと思います。どこかの科で専門的な診療をしたいというより、総合診療科で診断する技術を身につけたいという気持ちがありました。
当センターでは専門家の獣医師に協力してもらいながら診察を行っていますので、一次診療で診察をしていた時よりひとつひとつがクリアになっていくのを実感しております。様々な検査を行ってもどうしても確定診断に至らないケースはあるのですが、より良い治療ができるようになったと思っています。
特に相談して欲しい症例はありますか?
診断がついていない状態で治療を続けているというような症例をご紹介いただければと思います。できる限り早く診断をつけて、治療方針を立てることが重要だと思います。早く治療にはいることで、助かる確率は確実に上がります。もう少し早ければ助けられたかもしれないと思うことがありますので、確定診断がついていない場合には、なるべく早い時点でご相談いただければと思っています。
もちろん診断がついても、残念ながら亡くなってしまうことがあるのですが、診断がつかないままに亡くなった場合、“なぜ死んでしまったのかよく分からない”という状態になります。治療が不十分だったのか、別の治療法があったのか、本当に助からない病気だったのか、といったことをはっきりできる方がいいと考えています。たとえ亡くなったとしても、診断がつき、理由がそれならば仕方なかったと納得できれば、ご家族の受け止め方や気持ちもかなり違ってくると感じています。
今後どのような診療をしていきたいとお考えでしょうか?
早く診察に来てもらい、早く診断をつけ、早く治療に入っていくべきだと考えていますので、なるべく早く依頼が受けられるよう、例えば依頼していただいた当日に診察をして診断をつけて、必要があれば当日手術を行うくらいのスピード感でやっていけるようにしたいと思っています。一般的に二次診療施設では各専門科の診察する曜日が決まっていて、今週予約が取れなければ来週にという感じになっています。総合診療科も以前はそのようなシステムでやっていましたが、今は診察日を増やして週5日で診察を行っています。いずれは残り2日の診られない日もなくし、毎日診察できるような体制にしたいと思っています。
皆さまへ向けてメッセージをお願いします
診断、治療などにお困りのことがありましたらご相談ください。一次診療の病院で働いていたときのことを振り返ってみますと、暫定的な診断で診断的治療を行うことが多かったのですが、現在は可能な限り確定診断を付けることが非常に重要だと考えています。また、治療がうまく行かないときには、早期に診断を見直すことも重要だと思います。ホームドクターの先生方が、いますぐ紹介したいという症例を、なるべく早くお受けできる様に心がけていますので、どんな症例でもまずはご相談ください。

(写真と記事:尾形聡子氏)

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